テレビの害について
最近、保育園健診や子育て健診をしていて気になることがあります。3歳以下のこどもたちが結構テレビを見ていることです。テレビはついているだけとおっしゃるお母さんもいますが、アメリカの小児科学会ではこんな警告をだしています。
アメリカの小児科学会では
米国とカナダの5万5000人の小児科医などを会員に擁する米小児科学会は、その機関誌「米小児科学会誌」(Journal of American Academy of Pediatrics )1999年8月号で、「2歳以下の赤ちゃん、特によちよち歩きの時期には、テレビを一切見せてはならない」との声明を発表した。その理由として、「乳児期の脳の発達には、両親や他の大人たちとの直接的な接触が絶対に必要で、テレビはそれを妨げる」との見解を述べた。
同機関誌は、9月号で、「子どもとテレビ」の第2弾として、「夕方から夜にかけて、子どもにテレビを見せるのは、睡眠障害の原因となる。特に、ベッドル−ムにテレビを置くのは止めよう。寝室のテレビは、案外軽く見られているが、非常に重要な問題である。寝る前に暴力番組などを見ると、とくに学齢期の子どもは寝つかれなくなり、心身の健康に悪影響を残す」との、記事を掲載した。
暴力行為とテレビについての論文も科学雑誌に載りました
2002年3月28日(木) ワシントン ロイター
テレビの見過ぎは暴力的に=子供は1時間以内に規制を−科学誌
子供が10代の半ばでテレビを見過ぎると、20歳前後の時期に暴力的になる−。米コロンビア大学とニューヨーク州精神医学研究所の研究者らが、米国の707家族を対象に1975年から2000年にかけて、子供のテレビ視聴時間と成長してからの暴力行為の関係を追跡調査した結果、視聴時間が長いほど暴力事件を起こす確率の高いことが分かった。論文は、29日発行の科学誌サイエンス最新号に掲載される。
それによると、14歳の時にテレビを1日当たり3時間以上見ていた男女のうち、28.8%が16歳から22歳の間に他人に何らかの暴力行為を働いていた。しかも、男性に限ると、45.2%の高率になった。
これに対して、視聴時間が1時間以内の男女が暴力に走った割合は5.7%、1〜3時間では22.5%だったという。
また、女性の場合は、成人してからテレビ視聴時間の長い人が暴力事件を起こす確率が高いことも分かった。22歳で1〜3時間視聴していた人と3時間以上視聴していた人を比べると、30歳になったころに前者が暴力を振るった割合は3.9%なのに、後者は16.8%に跳ね上がった。同じ比較で、男性の場合は前者が14%、後者が18.8%と大きな違いはなかった。
コロンビア大学のジェフリー・ジョンソン博士によると、夜のゴールデンアワーの番組では1時間当たりで暴力シーンが3〜5回はある。子供番組だともっと多くて、1時間当たり20〜25回。テレビを長く見ていればいるほど、暴力的になるのは当然だと同氏は語り、「責任ある親は子供のテレビ視聴時間が1時間を超えないようにすべきだ」と主張している。2002年3月28日(木) ワシントン 時事通信
http://www.knit.jp/?yoshinori/kora/007-1.html
タバコとテレビについての論文を紹介します
GidwaniさんらはNational Longitudinal Survey of Youth による1990年のテレビ視聴習慣のデーターと、1990年から1992年に喫煙を始めた10歳から15歳の子供たちのデーターを調査しました。
1992年、12%の子供たちが喫煙していました。これは1990年の子供の喫煙率5%を上回りました。研究者はこの研究結果をPediatrics9月号に報告しました。
1990年に1日5時間以上テレビを見ていた子供たちでは3分の1が喫煙しており、テレビを見る時間が1日2時間未満の子供達では喫煙者は10人に1人でした。
1日5時間以上テレビを見る子供たちは、テレビをほとんど見ない子供と比べ、喫煙率が約6倍高いことが報告されました。
また、1日4時間以上テレビを見る子供たちの喫煙率は5倍でした。
Kids' TV habits linked to later smoking risk Pediatrics 2002;110:505-508.
その他、テレビと肥満についてや、テレビと鬱(うつ)状態について、テレビとADHD(注意欠陥多動症候群)などに関しての報告もあります。
こどもにとってテレビは、悪い面があることをよく知っておくことが大切です。現在の情報化社会の中では全くテレビを見ないわけにはいかないと思いますができるだけ減らす努力、できるだけスイッチを切る努力は必要だと考えています。